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大人がハマる!奥深きスパイス&コーヒーの世界

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この夏、日常にひとさじの刺激と癒しをプラスしてくれる、大人の趣味を始めてみませんか?
コレド室町の人気店「uRn.chAi&TeA(アーン チャイアンドティー)」と「やなか珈琲店」が、ご家庭でも楽しめるスパイスとコーヒーの世界へと誘います。知れば知るほどおもしろい、味覚の冒険に出かけましょう! -
「uRn.chAi&TeA」に学ぶスパイスの世界
料理の創造性を広げ、味と香りに深みと個性を与えてくれる、多彩なスパイスの世界。
その魅力と楽しみ方について、コレド室町3 2Fのカフェ「uRn.chAi&TeA」でディレクターを務める宮田文太郎さんに教えていただきました。― 大人がスパイスにハマる理由は?
ひとつひとつのスパイスに、いい意味でのクセがあることではないでしょうか。たとえばウォッシュタイプのチーズはにおいが強く、万人受けするものではないですが、食べ慣れていくとやみつきになる魅力がありますよね。パクチーも最近では市民権を得ていますが、好きな方と苦手な方がはっきり分かれます。
そうやってクセがあって最初はとっつきにくいものほど、知るほどにどんどんハマって取り憑かれていく。スパイスの魅力も、その延長線上にある気がします。あとは、調合の楽しさも挙げられます。自分の五感を研ぎ澄ませて、味わいや香りの重なり合い、ペアリングを考えることはすごくクリエイティブですよね。
単体ではすごくクセが強いスパイスも、他のスパイスと組み合わせることで全く異なる風味になっていくんです。正解がないからこそ、試行錯誤を重ねることで、無限の可能性が広がっていきます。さらに、寝かせて熟成することで味わいがまるくなるなど、時間軸でも変化を楽しめる奥深さも魅力です。
― そもそもスパイスとはなんでしょうか?
植物の種子、果実、根、樹皮、花などから作られる、植物由来の調味料です。ハーブは主に葉の部分を使うのに対し、スパイスは基本的にそれ以外の部分を使っています。最初にそれが料理に使えると発見した人はすごいですよね!
スパイスは料理に風味や香り、色を加えるために使われますが、一部のスパイスには、食品の保存にも役立つ抗菌作用や、さまざまな健康効果も確認されています。
たとえばシナモンは漢方では「桂皮(ケイヒ)」とよばれ、体を温める働きが期待されるそうです。一方で、通常の食生活では問題ありませんが、大量に接種すると肝臓に悪影響を及ぼす可能性があるそうなので、薬効を得ようとして過剰に摂取することは避けましょう。
― 代表的なスパイスとその特徴は?
「uRn.chAi&TeA」のチャイで使用しているスパイスは下記の6種類。一般的なチャイよりも多いと思います。これらのスパイスを多くの方がおいしいと思えるバランスで調合し、オリジナルチャイとして提供しています。
どれも手に入りやすく、活用しやすいスパイスなので、チャイ作りはもちろん、さまざまなお料理でも活躍してくれるはずです!シナモン(Cinnamon)
クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたもの。甘く温かみのある香り。体を温める効果があります。紅茶やコーヒに少量加えると、香りがぐっと深くなります。ジンジャー(Ginger)
生で使用することも多い生姜。ピリッとした辛味と甘味が特徴です。炒め物に少量加えると、肉や野菜の臭みを消し、風味をアップさせます。ブラックペッパー(Black Pepper)
熟す前のこしょうの果実を乾燥させたもの。スパイシーな刺激と爽やかな酸味で料理の風味を引き締めてくれます。ほぼすべての料理に使える万能スパイスです。カルダモン(Cardamom)
ショウガ科の多年草の果実を乾燥させたもの。甘くて爽やか、上品で高貴な香りから「スパイスの女王」とも称されています。クローブ(Clove)
チョウジノキのつぼみを乾燥させたもの。濃厚で甘く、少し薬っぽい香り。香りが強いので使いすぎに注意を。煮込み料理には2〜3粒が目安です。におい消しとしても重宝します。コリアンダーシード(Coriander Seed)
パクチーと同じ植物から採れる種子。柑橘系のような爽やかさと、ナッツのような香ばしさがあります。スープや煮込みに加えると、爽やかな風味がアクセントに。たとえば上記の6種のスパイスに、カレーの香りのベースとなる「クミン」、辛味を加える「カイエンペッパー」、黄色く色付けする「ターメリック」などをプラスすれば、スパイスカレーも作れます。代表的なスパイスの特徴をつかんで、ぜひ自分好みのレシピづくりにチャレンジしてみましょう!
― スパイスの選び方、保存方法、必要な道具は?
初めてスパイスを購入する際は、スパイスを豊富に取り扱うインド食材屋さんに足を運んでみるのがおすすめです。わからないことがあればお店の方に質問できますし、知らないスパイスに出会う楽しみもあります。
ホール(原形)とパウダー(粉末)は好みにもよりますが、ホールで使用したほうがまろやかに、パウダーはよりシャープな香りが引き出せます。
スパイスは湿気に弱いので、ご家庭ではできれば真空状態で保存を。ホールで購入し、必要なときに挽くと香りが長持ちします。スパイスを砕いて香りを引き出す「すり鉢とすりこぎ」や、ブラックペッパーなどを挽きたてで使える「スパイスミル」などがあると便利です。
― uRn.chAi&TeAのおすすめスパイスメニューは?
コレド室町3 2Fの「uRn.chAi&TeA」から、スパイスの魅力を体感できる2アイテムをピックアップしてご紹介します。左:オリジナルチャイ 右:おうちチャイセット
オリジナルチャイ600円(税込)
「オリジナルチャイ」は、ウバとアッサムの紅茶と6種類のスパイスを合わせて煮出し、黒糖でコクのある甘味をつけた看板商品。スパイスを引き立てる甘さと飲み飽きない味わいで一番人気を誇っています。
おうちチャイセット1,800円(税込)
「おうちチャイセット」は、オリジナルチャイで使用している茶葉とスパイスのセット。バランスよく調合されたスパイスをすり鉢で砕き、茶葉と一緒に煮出してミルクを加えるだけで、手作りチャイが完成! 約10杯分のチャイが作れます。
レシピも同封されているので、スパイス入門にぴったり。スパイスの砕き具合や、最初に水に浸す時間などを調整することで、お店よりも自分好みの味わいで作れるかもしれませんよ。 -
「やなか珈琲店」に学ぶコーヒーの世界
日常に欠かせない、リラックスタイムを提供してくれるコーヒーの世界をナビゲートしてくれるのは、コレド室町2 1Fのコーヒー豆専門店「やなか珈琲店」の店長・鈴木敦賀さん。
おいしさを基準に各国から買い付けた、約30種ものコーヒーの生豆が並ぶ店内でお話を伺いました。― 大人はなぜコーヒーにハマるのでしょうか?
ワインの魅力にも似ているのですが、品種や産地、焙煎によって違いを楽しめることが理由のひとつだと思います。それに加えて、ご自宅でのコーヒー豆の挽き方や淹れ方でも味わいをコントロールできることも、コーヒーならではのおもしろさですね。
昭和の喫茶店では、濃く苦い、深煎りのコーヒーが主流でしたが、ここ十数年はフルーティーで個性のあるコーヒーを楽しもうという文化が根づいてきました。ぜひ個性豊かなコーヒーのポテンシャルを引き出して、堪能してみましょう!― コーヒー豆の選び方は?
コーヒーの品種は、大きく分けて「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」の3つの原種に分類されます。栽培品種は数百種類に及びますが、よく目にするコーヒーの品種は、おそらく10種類弱でしょうか。有名なところでは「ブルボン(Bourbon)」「カトゥーラ(Caturra)」「ティピカ(Typica)」などが挙げられます。
ただ実際、お客様に選んでいただく際に、品種を意識することはあまり多くありません。まず、お好みの焙煎度合いを選んでいただき、その焙煎度合いに適したコーヒー豆からおすすめさせていただくことが一般的です。
「やなか珈琲店」では浅煎りから深煎りまで7段階の焙煎度合いから選べ、注文ごとに焙煎を行っています。コーヒーはもともと「コーヒーチェリー」という果実の種子なので、焙煎が浅いほどフルーティーなニュアンスが際立ち、深煎りになるほど苦みが強くなります。同じ豆でも、焙煎度合いによって味わいが大きく変化するのです。もうひとつのポイントが「産地(生産エリア)」。コーヒー豆の産地は、コーヒーベルトとも呼ばれる赤道から南北25度以内に密集していますが、その中でも土壌や気候によって個性が大きく異なり、それぞれの産地によって大まかな味わいの特徴を掴むことができます。店頭にはそれぞれの産地の特徴を記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
でも何から飲めばいいかわからないという方は、まずはブラジル産の豆がおすすめです。酸味が強すぎず、飲みやすいものが多くなっています。
また、「やなか珈琲店」で本日のコーヒーとしてテイクアウト用に販売しているコーヒーであればテイスティングも可能です。そのコーヒーに対して「もっとフルーティーに」「もう少し苦みがほしい」などの好みをお伝えいただければ、ぴったりのコーヒー豆をおすすめさせていただきます。― コーヒー豆の挽き方は?
ご購入いただいたコーヒー豆は、淹れる前に粉状に挽く必要があります。コーヒーを挽くミル(グラインダー)をお持ちの方は豆のままお持ち帰りになる方が多いですが、店頭で挽くことも可能です。ただ、淹れる直前に挽いていただくほうが、もちろん鮮度的には良くなります。スパイスと一緒ですね。
挽き方によっても味わいは異なり、挽目が荒いほど成分が出てきにくくスッキリとした味わいに、挽目が細かいほど成分が出て濃くなります。ここからはちょっとマニアックな話になりますが、抽出時間によって出てくる味の成分が変わるんです。最初は香り、次に酸味、甘さが出て、最後に苦みや渋み、雑味が出てきます。
つまり挽目を細かくするほど早いタイミングで雑味が出てきますが、粗ければ雑味が出てくるフェーズまで時間がかかります。それを理解して抽出のレシピを組めるようになれば、もう完全に上級者ですね。
― コーヒーの抽出方法は?
コーヒーの抽出方法として代表的なのはハンドドリップでしょう。淹れ方に正解はないですが、我々のおすすめは少し低めの温度で淹れること。80度代が目安です。ポットとケトルで2〜3回ほどお湯を移し替えるとちょうどいい温度になると思います。
アイスで飲む場合は、氷で薄まることを前提に、濃いめに落とすことを意識してください。麦茶を作る感覚で、パックに入れたコーヒーの粉を冷水に数時間浸して抽出する「コールドブリュー(水出しコーヒー)」でも美味しく召し上がれます。
一般的に、ドリップを氷で冷やしたアイスコーヒーはキリッとした味わい、コールドブリューはまろやかでクリアな味わいに仕上がります。― コーヒー豆の保管方法は?
コーヒー豆の時間経過による味わいの変化はエイジングとも呼ばれ、一概にネガティブなものではありません。ただ劣悪な保存環境で長期間置いておくと、酸化したような酸味が発生し、香りが弱くなってしまいます。目安として、焙煎後の2〜3週間が飲み頃です。劣化を防ぐためにも、少量ずつ購入されることをおすすめします。
湿気や熱気がコーヒーを劣化させるため、ご家庭での保管場所は冷蔵庫、長期的な保管は冷凍庫が良いでしょう。コーヒーは消臭剤にも使われるほどにおいを吸収する力が強いので、空気に触れてしまうと冷蔵庫のにおいが移ってしまうこともあります。できれば密閉できる容器に移し替えてください。
また、冷蔵庫や冷凍庫から取り出した豆は結露して水を吸ってしまうことがあるので、使う分だけを取ってすぐに戻しましょう。― やなか珈琲店のおすすめコーヒーは?
コレド室町2 1Fの「やなか珈琲店」から、コーヒーの魅力を体感できる2アイテムをピックアップしてご紹介します。左:200g 右:100g
ショコラ ベリーズ ナチュラル(100g)920円(税込)
「ショコラ ベリーズ ナチュラル」は、やなか珈琲店で人気No.1のブラジル産コーヒー。ビターチョコレートのような風味、ほのかに花のような華やかな香りも感じられます。コーヒーのほどよい苦みが苦手でなければおいしいと感じていただける王道の味わいは、コーヒーの世界を巡る旅の出発点にもおすすめです。
モカ アルシヴェルベティ ナチュラル(100g)980円(税込)
「モカ アルシヴェルベティ ナチュラル」は、エチオピア産の在来品種。華やかな香りでフルーティー、飲み心地が軽くスッキリとした印象です。強い個性が楽しめます。ブラジル産と同時に購入し、飲み比べてみるとおもしろいかもしれません。
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五感と好奇心を刺激し、日々の暮らしに彩りを添えてくれるスパイスとコーヒーの世界。コレド室町を訪れて、実際にプロの知恵や技術に触れてみるのもおすすめです。新しい発見が、きっとあなたの毎日を豊かにしてくれることでしょう!