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「この縁を信じて観てほしい」毎コンスポニチグランプリ新人賞・アフロ(MOROHA)インタビュー
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1年間の優れた作品と活躍した映画人を広く顕彰する「毎日映画コンクール」をご存知ですか? 終戦間もない1946年に始まり、今年2024年で78回を迎えた、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社が主催する映画賞です。
コレド室町では、そんな歴史と権威ある映画賞で受賞を果たした俳優たちの輝かしい瞬間を収めた「第78回毎日映画コンクールパネル展」を開催。男優主演賞の鈴木亮平さん(『エゴイスト』)、女優主演賞の杉咲花さん(『市子』)、男優助演賞の宮沢氷魚さん(『エゴイスト』)、女優助演賞の広瀬すずさん(『キリエのうた』)、スポニチグランプリ新人賞のサリngROCKさん(『BAD LANDS バッド・ランズ』)、アフロさん(『さよなら ほやマン』)の6名の写真パネルが展示されました。
※現在は展示終了。パネル展の開催初日に行われたテープカットセレモニーには、映画『さよなら ほやマン』でスポニチグランプリ新人賞を受賞したアフロさんが登場! 音楽グループMOROHAのMCとして活動しながら、本作での映画初主演が大きな反響を呼びました。
自身でもチラシを手配りするなど、スクリーン外でも精力的に取り組んだアフロさんに、ロングラン上映につながったプロモーション活動、映画への思い、コレド室町の印象など、幅広くお話をうかがいました。 -
プロモーションの手応えについて
映画が公開する前日までもがいていたんですけど、全く何かが起こる気配がなくて。最後の最後の手段で、俺のアドレス帳に入っている超有名人からただの飲み友達まで400人、それぞれのSNSに投稿してもらう用のオリジナル告知動画を400本、ほやマンの格好で撮って送ったんです。
それを送りつけられた伊集院光さんがラジオで、「みんなに送りつけるようなチャラいプロモーションには協力できねえ」と。それで終わらず、「ゴジラを観に行こうと思ったけどいい席が空いてなかったから、ほやマン観に行ったら、なめてたけど面白かった」と話してくれて。そこからちょっと広がった感覚がありましたね。著名人のSNS での拡散力もさることながら、同時に一般の友達に送ったこともすごく宣伝になりました。たとえば俳優の斎藤工さんには、「斎藤工さんのSNSをご覧の皆さん、こんにちは、ほやマンです」って送ったんです。方や、フォロワー30人ぐらいの友達のサトウくんにも、「サトウくんのSNSをご覧の皆さん、こんにちは、ほやマンです」と送っていて。斎藤工さんにもサトウくんにも同じ動画が送られてきているという違和感から、結果的に「この作品はなんなんだ」と話題にしてもらえました。こういうプロモーションの仕方があるんだって発見がありましたね。
ただ、友達の知名度を利用するっていうのはズルだし、彼らが命懸けで築いてきたものを借りることに対する葛藤もありました。これがMOROHAの活動だと、俺と相方の人生のことだから自力でやれよって思うんだけど、映画に関しては本当にいろんな人の力を借りすぎちゃったので、俺のポリシーとか言ってる場合じゃないっていう免罪符があったから。素直に甘えられたっていうのも新鮮でした。 -
映画の反響について
やっぱり毎日映画コンクールのスポニチグランプリ新人賞は反響が大きかったですね。素直に嬉しかったなあ。比喩じゃなく、本当に飛んで跳ねて喜んだんだから。そういう冠をもらえると、それを信用して観に行ってくれる人がいて。それが、毎日映画コンクールの持っている力なんだなって思います。
俺、いまだに(映画上映後の)トークイベントに行くんですけど、今日初めて観ましたって声もあるし、2回、3回観てまた新しい気づきがあったって声もあって、それもすごく嬉しいですね。多い人だと8回観ているって人がいて。その人は俺が配ったチラシを受け取ってくれた人なの。正直チラシ配りがどれぐらい効果があったのかわかんないんですけど、やっぱり俺が直接チラシを手渡して、そこで会話があって、思い出が生まれて、その結果8回も観てくれている。そう思うと、効率的かどうかってだけじゃ計れないものもあるんですよ。
だからやっぱり縁だと思うんです。このページを開いて、 そこに俺がいて、このインタビューを読んでくれている人とも、もう相当な縁がある。間違いないです。映画館なり、配信なり、どうにか作品にたどり着いていただくのは、あなたにお願いするしかないんだけど。この縁を信じて観てほしいですね。 -
『さよなら ほやマン』の見どころについて
見どころは、俺の綺麗なお尻です(笑)。あとは、(アフロさん演じる主人公の弟を演じた)黒崎煌代っていう役者が初めて出演した映画だということ。彼は必ず日本で指折りの俳優になるので。俺はそれに立ち会えたことをすごく嬉しく思っています。
この前、半年ぶりに会ったんだけど、もう顔つきが変わってて。朝ドラも経験して、いろんな自覚だったり、未来の展望だったりが生まれてきて、撮影時の黒崎とはもう全く違うんですよ。それも含めて奇跡みたいな映画でしたね。そして俺は俺で、素人の最高峰を出したと思っていて。演じる技術はないけど工夫と、やっぱり自分の人生を照らし出したものがそこに映っている。俺の尽力と、黒崎煌代の才能、呉城久美さんの迫力、監督とスタッフの映画愛が詰まった作品になりました。
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コレド室町でのパネル展について
いろんな舞台に立ってきましたけど、テープカットは初めてでした。一発で切れなくて焦りましたね。それにしても、こういうことをさせていただく人生が来るとは思いませんでした。
パネル展で、そうそうたるメンツと一緒に俺が並んでいると、ちょっと俺の格も上がって、なんかいけてるやつみたいな(笑)。こういうのを見て、うちの親が安心したりするんだろうなと。すっげえ幸せなことですよね。コレド室町に来るのは二度目かな。日本橋三井ホール(コレド室町1 5F)で、アコーディオニストのcobaさんの客演で参加したことがあって。日本橋は20代のころはあんまり近寄れなかったですが、最近仕事で縁があって来れるのは嬉しいです。もう一層奥の東京に迎えてもらっている感じがします。
あと、今日はタロー書房さん(コレド室町1 B1)に行ったんですけど、日本橋という街のカラーが出ていて、平置きされている本に教養があるんですよね。俺が住んでいる街の本屋とやっぱ違うなと。どこに行ってもきれいだし、こういうとこで働けたら日々楽しいだろうなと思います。このあとは、コレドでなんかうまいもん食べて帰りたいですね。 -
アフロ
1988年1月7日生まれ、長野県出身。バンド「MOROHA」のMC。MOROHAは今年15周年を迎えるアコースティックギターのUKとMCのアフロからなる二人組。世代を超えた幅広い音楽ファンから支持を得るMOROHAには著名人の熱烈なファンも多く、これまでドラマシリーズ「宮本から君へ」のエンディングテーマや、映画『アイスと雨音』では劇中に登場する形で熱のこもったパフォーマンスを繰り広げたことも記憶に新しい。本作で制作側からの熱烈オファーと映画の熱いメッセージ性に深く共鳴。自分がやらねばと本作で初主演映画デビューを飾った。