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和菓子で疫病退散?
福徳神社で毎年続く「嘉祥祭」とは

2023/05/19
  • 毎年6月16日の「嘉祥の日」に、コレド室町2のすぐ横にある福徳神社でおこなわれる「嘉祥祭」をご存知ですか?聞き慣れないかもしれませんが、どうやら“和菓子のお祭り”だそう。何のために始まり、どのようなことを願うお祭りなのか、福徳神社の禰宜(ねぎ)・伊久裕之さんにお話をお伺いしました。

  • 和菓子を囲む「嘉祥の日」

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    福徳神社 禰宜 伊久裕之(これひさ・ひろゆき)さん

    ― 「嘉祥祭」とはどのようなお祭りなのでしょうか?
    嘉祥祭のルーツは、平安時代にさかのぼります。承和15年(848年)に疫病が蔓延していたことから、当時の仁明(にんみょう)天皇が元号を「嘉祥」へと改元。嘉祥元年6月16日に16個のお菓子やお餅を神様にお供えし、疫病退散を祈ったと伝えられています。
    その嘉祥の儀式にちなみ、今では6月16日は「和菓子の日」と制定されているのをご存知でしょうか?
    全国和菓子協会により、「和菓子を食べて元気に夏を乗り越えよう」と発信されています。

    ― 縁起のいいお菓子を奉り、疫病退散を願ったのが始まりだったんですね。
    いっぽうで、平安時代の宮中では「お互いの懇親を深める行事」として、6月16日にお菓子を贈りあっていたとも伝えられています。江戸時代には、将軍から大名や旗本たちへ菓子を贈る「嘉祥頂戴(かじょうちょうだい)」という行事がおこなわれ、一般市民の中では菓子や餅を16個買って食べる「嘉祥喰(かじょうぐい)」という習わしが広まっていったそうです。疫病退散や健康招福を祈る他にも、嘉祥はコミュニケーションのひとつとしても人々に浸透していました。

    ― 「嘉祥の日」にお菓子を食べることで、人々の交流も盛んに。それが今でも伝わっていると。
    そうです。福徳神社では6月16日の嘉祥にちなんで、「嘉祥祭(かじょうさい)」をおこなっています。5年前の平成30年から毎年、コレド室町の和菓子店と連携し開催しています。

  • 神様へのおもてなし?和菓子作りの実演「献菓の儀」

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    ― 福徳神社の嘉祥祭では、どのようなことをするのですか?
    コレド室町の各店舗からお供えいただいた和菓子を神前に献ずる「献菓の儀(けんかのぎ)」をおこないます。神前で和菓子職人の方に生菓子を作っていただき、その場で献じるのです。和菓子作りを披露する人を「菓子司」といい、毎年コレド室町3 1F<鶴屋吉信>の和菓子職人の方がお勤めくださっています。

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    過去の嘉祥祭にて神前に献上された和菓子

    ― 「献菓の儀」も「菓子司」も初めて聞く言葉です。どうして和菓子を作るところを神前でお見せするのですか?
    そもそも神社のお祭りとは、神様をおもてなしし、私たちの願いを伝えるおこないです。人と人との間でも、大切なお客様に対して御馳走を用意したり、喜ぶ演出をしたりするのは大事ですよね。神様へのおもてなしも同じで、目の前で熟練の職人さんによって美しいお菓子が作られていく様子は、まさに楽しいひととき。和菓子作りを披露する「献菓の儀」はこのお祭りのメインイベントなのです。

    ― ちなみに、献菓の儀で献上されるのはどんな和菓子でしょうか?
    献菓の儀でお供えするのは、その時季を感じさせる和菓子が多いです。神様が好きな和菓子は、直接伺ったことがないのでわかりません(笑)が、やはり旬のものをお喜びになるのではないでしょうか。そういった意味では、<鶴屋吉信>さんに作っていただく、季節感のある和菓子はぴったりです。

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    献菓の儀で作成された生菓子。写真左から「てっせん」「こがね菊」「長春」
    ※前回の撮影画像より

  • 和菓子を食べる、その行為に意味がある

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    ― 嘉祥祭は神様を和菓子でおもてなしする儀式なんですね。参拝する人はどんな心構えでいればよいのでしょうか。
    何か難しい心構えは必要ないと思います。和菓子を召し上がっていただくことで、嘉祥という文化を体験していただければ嬉しいです。
    医学も医療技術も発展していない時代には、6月16日に和菓子を食べる行為が、疫病という目に見えないものへの恐怖を乗り越える心の拠り所になっていたのではないでしょうか。昔の文化を「自分ごと」にして考えてくださる方が一人でもいれば、私たちにとっても嘉祥祭を続けていく大きな意味になります。
    6月16日は和菓子を食べ、1年の健康を祈る。気軽な気持ちで、嘉祥の日を生活に取り入れていただければ幸いです。

    ― 参拝する時には和菓子を持っていったほうがいいですよね?
    そんなことはありませんよ。和菓子を持って参拝される方もいらっしゃいますが、もちろん手ぶらでかまいません。
    そして6月1日(木)〜6月16日(金)の期間、嘉祥祭で和菓子を献上したコレド室町の対象店舗にてご購入いただいた方に、店舗ごとで「嘉祥祭の御朱印」をお渡ししています。

    ― 御朱印って、神社に行くともらえるものですよね。
    そもそも御朱印とは、神社にお参りしたという証明書のようなもの。それを嘉祥祭で配るのは、「嘉祥」という文化に参加した証として残していただきたいからです。先ほども述べましたが、和菓子を買って食べるという行為を通じて「嘉祥」という文化を記憶に残してほしい、そんな想いから御朱印をお渡ししています。

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    今年度の御朱印

  • 和菓子を食べて、人も街も元気に!

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    ― 平成30年から毎年開催しているとのことですが、3年前の新型コロナウイルス感染症拡大時も?
    はい、中止することなく開催しました。3年前の2020年6月というと、ちょうど緊急事態宣言が明けた頃で、人の出入りがなく、集まることも制限され、街は閑散としていた状況でしたが……。

    ― そんな大変な状況下でも、嘉祥祭をおこなったのはなぜでしょうか?
    嘉祥祭の実施については、大変悩みました。神社として神事を継続することに変わりありませんでしたが、各店舗と連携する「嘉祥祭」として実施できるのか?人を集めたり呼びかけたりすることがはばかられる中で開催できるのか?人がいない中でやる必要はあるのか?と。その時、福徳神社の嘉祥祭のあり方を今一度考え直したのです。
    そもそも嘉祥が始まったのは、平安時代に疫病退散を願ったのがきっかけ。そして、福徳神社で嘉祥祭を始めたのは、日本橋の人々の健康から街の発展までを願うことが目的にあったからです。だからこそ、どのような状況でも続けていかないといけないと思いました。
    新型コロナウイルス感染症への配慮から、神職と菓子司のみでの献菓の儀が続いていましたが、神社のホームページやSNSなどを通じてその様子を配信してきました。神事を間近に見ることは、現状難しいですが、配信などを通じて少しでも献菓の儀式を身近に感じていただけたらと思います。

    ― 最後に、これから福徳神社の嘉祥祭をどのような行事にしていきたいですか?
    神社のお祭りには、人の循環を生む効果もあると思うんです。お参りにいらした方が、近くの飲食店で食事をしたり、帰り際に手土産を買ったりすることもあるでしょう。福徳神社への参拝をきっかけに、その周りのお店にも足を運ぶ機会が生まれる。その積み重ねが、街の活気につながったら嬉しいです。
    活気のある場所に行くと、なんだか気分が高まりませんか?日本橋がみなさまにとって「来ると元気が出る街」になるといいなと、ワクワクしています。

  • 和菓子をもっと気軽に。福徳嘉祥祭

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    6月1日(木)〜6月16日(金)の期間中、コレド室町の和菓子店など計7店舗が福徳神社に和菓子を奉納する「福徳嘉祥祭」が開催されます。
    期間中、嘉祥祭で和菓子を献上したコレド室町の対象店舗にてご購入いただいた方に、福徳神社嘉祥祭の御朱印を進呈いたします。(※無くなり次第終了)
    6月16日(金)11時より福徳神社でおこなわれる「献菓の儀」はもちろんのこと、和菓子を気軽に楽しめるイベントです。

    福徳嘉祥祭 和菓子奉納 参加店舗
    コレド室町1 1F<にんべん 日本橋本店>
    コレド室町1 1F<箔座日本橋>
    コレド室町1 1F<船橋屋>
    コレド室町1 1F<奥井海生堂>
    コレド室町1 1F<覚王山フルーツ大福 弁才天>
    コレド室町2 1F<日本橋 芋屋金次郎>
    コレド室町3 1F<鶴屋吉信>

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