ロンドン発「リナストアズ」が日本橋に。かわいいだけじゃない、人気の秘密に迫る

1944年の創業以来、ロンドンで愛され続けるイタリアンレストラン＆デリカテッセン「リナストアズ（LINA STORES）」。ロンドン以外では初出店となる表参道店に続き、コレド室町店が2023年3月にオープン。早くも地域に溶け込み、人気を集めています。
リナストアズは、なぜロンドンや東京の都市に暮らす人々を惹きつけ続けるのか？その魅力と必食メニューをレポートします！

リナストアズが愛され続ける2つの理由
来年で80周年を迎える「リナストアズ」。そのルーツは、イタリアのジェノバ出身の創業者リナが、ロンドンのソーホー地区にオープンしたイタリアンデリカテッセンにさかのぼります。現在も1944年の創業時から変わらぬ店構えで、ソーホー地区の中でも老舗でありランドマークともいえる存在です。

創業当時のリナストアズ

ロンドンの流行発信の中心地ともいえる華やかなソーホー地区で、リナストアズが長年に渡ってロンドナーの心を捉え続けているのはなぜでしょうか？その理由のひとつが、本物のイタリア食材へのこだわりにあります。取り扱うのはフレッシュなチーズやサラミなど、イタリア現地の厳選された食材だけ。創業した当時はロンドンでも本格的なイタリア食材が手に入らなかったこともあり、故郷の味を求めるイタリアからの移民を中心に、とても重宝される店舗だったそうです。そして現在に至るまでイタリアの伝統的な食文化を尊重し、時代を超えてオーセンティックであることが貫かれています。
もうひとつの理由として、フレンドリーなスタッフが挙げられます。地域に溶け込んで愛されることを目指しているリナストアズでは、お客様みんなをファミリーのように捉えて接するイタリア人の気質をすごく大切にしているのです。日本のリナストアズでも本場の食材を扱うだけでなく、ロンドンの店舗で脈々と受け継がれるゲストへの純粋な愛情まで取り入れることを目指しているそうです。

リナストアズコレド室町店店長小海さん

目も楽しませるリナストアズ
リナストアズといえば、グリーンとホワイトを基調としたおしゃれでかわいいインテリアやユニフォームも大きな特徴です。店頭に置かれた自転車は「インスタ映えスポット」としても評判！フォトジェニックなピスタチオグリーンの自転車を、インスタグラムなどのSNSで目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
そんな「いまっぽさ」のあるデザインですが、実はこちらもロンドンの歴史ある店舗から踏襲されたもの。ピスタチオグリーンをキーカラーに用い、アール・デコ風のクラシックな様式でまとめたインテリアは、1944年の創業当時から変わらず受け継がれているのです。

ちなみに、コレド室町店ではダークグリーンやブラウンを多く取り入れることで、かわいさを抑えてより締まった印象に仕上げられています。そのおかげか、コレド室町店には男性だけのお客様も多くご来店されているようです。

リナストアズがなぜ日本橋に？
地域のコミュニティが強く、歴史のある街で、長く愛される存在になっていきたい。リナストアズが創業以来大切にしてきた想いに応える場所こそ、江戸時代から町人文化の中心地となった日本橋でした。
コレド室町店はオープンして間もないですが、落ち着いて余裕のある大人のお客様が多い印象。お買い物帰りの方をはじめ、オフィスワーカーの方、毎日来てくださる近隣の方と、幅広いお客様が訪れているそうです。
お昼から夜まで切れ目なく営業しているので、ブランチからランチ、カフェ、そしてディナーまで使い勝手の良さも魅力です。仕事帰りにサクッと飲んで帰る方も多いそうで、とてもスマートで素敵な使い方ですよね。

リナストアズのメニューへのこだわり
リナストアズで提供される食事は、基本的にはイタリア各地で伝統的に伝わるレシピがもとになっています。地元で愛される味、郷土の味を再現し、そこにロンドンならではのセンスを少し加えて、毎日でも食べ飽きない美味しさを目指しているそうです。
日本でもそのレシピを使用しながら、日本で手に入る食材に合わせて調整を重ねています。全てのメニューを統括するディレクターが厳しく味見をして、自信を持っておすすめできるものが完成したときのみお客様に召し上がっていただくことが許されるのです。

ドリンクもイタリアにこだわったものがほとんど。イタリア産のワインやスピリッツ、ソフトドリンク、イタリア人の生活に欠かせないエスプレッソももちろんラインナップされています。ノンアルコールカクテルやノンアルコールワインも揃っているので、お酒を飲まない方との食事でも安心です。

リナストアズで絶対食べたいメニュー4選

01. Tagliolini al Tartufo e Parmigiano
フレッシュトリュフとパルメジャーノタリオリーニ

リナストアズは創業時から看板メニューとしてフレッシュパスタを手掛けてきました。イタリア産の小麦粉を使って、熟練した職人が毎日手づくりしています。日本でも本国のレシピをもとに、表参道店のバスタ工房で職人が手づくり。さまざまな種類の打ちたてパスタが、コレド室町店にも毎日届けられています。
こちらはロンドンでも日本でもダントツの人気No.1メニュー。主に北イタリアで作られている幅広の平打パスタ（約3mm幅）に、トリュフペーストとバターのクリームベースのソースを絡め、パルミジャーノ・レッジャーノとフレッシュなトリュフをたっぷりとトッピング。プレートよりも前に芳醇な香りが席まで届き、間違いなく美味しいことがすぐに確信できるはず。麺をほぐすたび、そして口にするたびに豊かな香りが鼻に抜け、もうたまりません。フレッシュパスタならではのモチモチとした歯ごたえのある平麺のタリオリーニは濃厚なソースとしっかり絡み、同時に小麦の旨みも感じられます。もうひと口、もうひと口とやみつきになる美味しさで、食べ終わったあとも幸せな香りの余韻が楽しめます。
シンプルだからこそ、すべての食材が高いレベルで引き立てあう、リナストアズのスペシャリテ。お店の底力が伺える一品です。

02. Polpette di Melanzane
イタリア風茄子のコロッケ

お次はアンティパストから、ビールやスパークリングワインとも相性ばっちりの一品を。コロッケっと名付けられてはいますが、ポテトは一切使われていません。大量の茄子をトロトロになるまで蒸してから脱水し、丸めて衣をつけてフライに。トマトソースと塩一振りで、こちらもシンプルに仕上げられています。
衣は薄付きながらサクッとした歯ごたえとモッチリ感が共存。口にするとトロトロの茄子と一緒にたっぷりの旨味があふれてきます。茄子ってこんなに豊かな美味しさがあるんだと、その魅力を再発見させられました。

すごくシンプルなのに、すごく美味しいという意外性に心奪われる人が多いそうで、来店するたびに注文されるリピーターが多いメニューでもあります。手を加えすぎず、素材の持ち味を活かす、イタリア料理の醍醐味を感じられることでしょう。

03. Cannolo Siciliano con Pistacchio e Cioccolato
シシリア名物カンノーロ（ピスタチオとチョコレート）

3品目はドルチェのイチオシをご紹介。カンノーロは映画『ゴッドファーザー』で登場したことから一躍有名になった、南イタリアのシシリア島発祥のお菓子です。最近では日本でも流行の兆しがあるイタリアスイーツとして、少しずつ注目を集めています。
リナストアズのカンノーロはそんな流行に乗って生まれたわけでなく、1944年の創業以来提供され続けている伝統的なレシピをもとに作られたもの。筒型に整えた生地をラードで揚げて、中にリコッタクリームを詰めて、砕いたピスタチオとチョコレートを左右の端にそれぞれトッピング。生地の食感を活かすために、クリームは提供される直前に詰められています。
一見、甘くて重そうなお菓子ですが、食べてみると想像よりも甘さ控えめな印象。男女問わず好まれる味わいではないでしょうか。ザクッとした生地と、驚くほどなめらかなクリームのコントラストが楽しくて、どんどん食べ進められます。そのまま食べてももちろん美味しいですが、両端についたピスタチオ＆チョコレートで味変もばっちり！スイーツ好きの方も満足できる、食べごたえのあるサイズ感もポイントです。

04. Casarecce con Gamberi e Pesto di Pistacchio
エビとピスタチオソースカサレッチェ
※メニューは季節により変更となる場合があります。

最後は、グリーンをテーマにしたイベント「COREDO GREEN FES」にちなみ、こちらのパスタをチョイス。リナストアズのキーカラーを思わせるようなグリーンのソースには、ピスタチオをふんだんに使用。ピスタチオの甘い香りと豊かな風味、香ばしいコクが堪能でき、プリプリの大振りなエビともマッチしています。
カサレッチェは聞き馴染みのない方が多いと思いますが、シシリア生まれのショートパスタ（約18mm幅）で、くるりとS字を描くように丸まっていることで、溝になった部分にソースがよく絡みます。もちろん手づくりのフレッシュパスタで、モチモチとした食感も魅力的。ショートパスタなので、お酒のお供としても優秀です。
どのメニューもしっかりとしたボリュームがあるので、本場イタリアさながらに家族や友人とシェアしてワイワイ過ごすのもおすすめです。ぜひ、さまざまなメニューを楽しんで、リナストアズの人気の秘密を体感して！