おうちボタニカルLIFE
BOTANICAL
「edenworks」篠崎恵美さんが紡ぐ、
新たな「おうちボタニカルLIFE」
独自の感性で花の可能性を見つけ、生花だけでなくドライフラワー、紙の花など新たな価値観を生み出している、「edenworks」のフラワークリエーター・篠崎恵美さん。
新生活の中で、植物との向き合い方も変わったと話す篠崎さん流の「おうちボタニカルLIFE」には、初心者でも失敗しにくい観葉植物やお花のお話から、育てる際の注意点まで、植物と上手に付き合うヒントが満載。
フラワークリエイター 篠崎恵美さん
フラワークリエイター。2009年「edenworks」を立ち上げ、百貨店のウィンドウディスプレイや店内装飾、アパレルブランドやショップとのコラボレーション、雑誌や広告、CM、MVなどで幅広く活躍。独自の感性で花の可能性を見つけ、植物と様々なアイテムでイメージを独創的に表現する。2015年にフラワーショップ「edenworks bedroom」を代々木上原でスタートさせる。
@edenworks_「コロナ禍でさまざまな生活の変化を余儀なくされましたが、一番大きく変わったのは、1日の時間の意識です。以前は、“起きてから寝るまでが仕事”というスタイルで、空いた時間に食事をするような生活でした。暗くなったら夜、陽が出てきたら朝というように、時間の感覚がまったくなく、早朝に市場へ行って、夜は仕事が終わってから撮影…と、時間軸がなかったのですが、コロナ禍で外食が思うようにできなくなったこともあり、自ずとお店の閉まる20時までに夕飯を済ませる、といった習慣が生まれました。すると昼食も、20時前にお腹が空くように計算して食べるようになり、食生活のルーティーンから逆算して時間を使えるように変わってきて、以前より一日をていねいに暮らせるようになった気がします。また、家にいる時間が増えたことで、花が咲いたり、根っこが伸びたりと、植物の小さな成長にも気づけるようになったことも大きいですね」
外出ができなくなった期間も前向きに捉え、自分時間をより有意義に使えるようになったと話す篠崎さん。新生活で自宅時間が増えたからこそ気づきがあったという“植物との向き合い方”を中心に、篠崎さんにとっての6つのマイルールを伺いました。
生花(せいか)を飾る。
意外に思われるかもしれませんが、以前は自宅にあえて生花を置かないようにしていました。
お花を仕事にしているため、自宅にもお花があると枯らさないようにと気を使ってしまって、気持ちが休まらなかったんです。
でも昨年、40歳を迎えた時に知人からお花をいただいたのが心から嬉しくて、“生き物を飾る”ということに対する考え方が変わってきました。ちょうど同じ頃に、日常的に使っていただけるお花屋さんをオープンしたこともあり、お仕事で余ったものを中心に、部屋に生花を飾る習慣ができました。
また、おうち時間が増えたからこそ植物と向き合える時間ができたので、お花や植物が目立つように、花瓶やプランターもできるだけシンプルな色のないタイプや透明なガラス製のものを選ぶようにしています。
決まった時間に植物に水をあげる。
コロナ禍で時間の使い方が変わったため、朝起きたら植物に水をあげる、生花のお水を変える、という毎日の習慣が加わりました。 「観葉植物の育て方は難しい」と言う方のお話を聞くと、「お水をあげ過ぎてしまって腐らせてしまった」「お水をあげるタイミングが分からず枯らせてしまった」という理由を耳にしますが、「アンスリウム」など、多少、水をあげるのを忘れても、ちょっとやそっとではダメにならない観葉植物が初心者の方にもおすすめです。また、葉っぱだけの観葉植物もありますが、「アンスリウム」はお花も咲いてくれるのでインテリアに季節感も生まれます。葉っぱも、細かいとパラパラ落ちてしまうので扱いにくいのですが、「アンスリウム」の葉はシャープで、カッコいいんです。あと、お花が咲くタイプでおすすめは、ラン科の「オンシジウム」。胡蝶蘭などラン科の植物は、翌年にお花を咲かすのが難しい種類も多かったり、温度も暖かくしないといけないなど育て方が難しいのですが、寒い日本でも耐寒性があって、一般的な部屋の温度なら無理することなく、黄色の細かいお花がふんわりと咲いてくれます。
生花が弱ってきたら、ドライフラワーにする。
以前は、お花の仕事をしていると、どうしても“捨てる”ということは避けて通れませんでしたが、今はドライフラワーにする手段を含め、会社の中で“お花を捨てない仕組み”が出来あがり、自宅でも“捨てない”でドライフラワーにしやすいお花を飾るようにしています。
ドライにしやすいタイプの中でも、個人的に好きなのはチューリップなど球根付きのもの。茎はドライにはならないのですが、先端のお花の部分のみカットしてドライにして楽しんだりしています。私自身もユーザーとしてお花を楽しむようになったことで、お客様の気持ちに立ってお花と向き合えるようになった気がします。
食卓にお花を。
コロナ禍で時間軸が整っただけでなく、免疫アップや体調管理にも関心が増し、食事自体の重要性を改めて感じました。そこで、日々のルーティーンになりがちな食事の時間をより楽しく過ごすため、食卓を明るく華やかに飾りたいと思うようになり、お花を飾るようになりました。ここでのお花は一輪でもグリーンだけでもなんでもok。あまり背の高い植物だと会話の邪魔になってしまうこともあり、テーブルに置いたときに目線より低い植物を選ぶようにしましょう。ちょっとした彩りが加わることで、食卓での会話もワントーン高まるかもしれません。
キッチンで、水耕栽培。
野菜を選ぶ際に、できるだけ根っこ付きを探して買ってしまいます。例えば、三つ葉やブロッコリースプラウトや、豆苗のように根っこが付いて売られているもの。一度に使いきれないことも多いので、根っこだけを残してキッチンで水耕栽培を楽しんでいます。
ここで重要なのは、お水をこまめに変えてあげることと、風通しを良くすること。お水はカビが生えやすいので注意です。
水耕栽培は、円柱状の透明ガラスで育てれば根っこが伸びていく成長も見えますし、お水のあげ過ぎ防止にもなります。<RULEその2>の「お水のあげ方が難しい」という話にも通じるのですが、根付きの観葉植物も同様に、プランターから根っこごと外して透明ガラスに移植して育てれば、お水をあげ過ぎの場合は下層に水が溜まっていくのでわかりやすいかと思います。ガラスの一番底に、「ミリオン」という市販で売られている珪酸塩白土を1cmほど敷いてあげると、不要な水気を吸い取って、根腐れや水腐れ防止になるのでおすすめです。
紙の花の多様性を再確認。
アーティスト活動として、(写真のような)紙の花を作っているのですが、お部屋に彩りをプラスする際、この紙の花がとても使いやすく、あらためてその多様性を実感しています。お花は、生きている造形物として可愛いと感じるものですが、フォルムとして色や形を愛でる楽しみ方もあるのではないでしょうか。
紙はもともと天然の木を原料に人の手を通してできたものなので、紙の花は造花とはまた違った、植物のような温もりを感じます。お花や植物は太陽の光と通気性が必要なのでインテリアとして難しいと感じている方も、紙の花は何も要らず、置きたい場所に置くだけで華やかになるので重宝します。