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プロに聞くファッションケア
レザーケア編<監修:marume>

2018/03/23

手を入れながら長く使うことで、その人らしい味わいが深まるレザーアイテム。…のはずですが、「お気に入りの革アイテムを購入したけれど、どうやってケアをしたらいいかわからない」、「しばらく放置したら硬くなってダメにしてしまった」なんて人も多いかもしれません。そこで、レザーケアについてプロに聞きました。教えてくれるのは、上質なレザーを使ったさまざまなアイテムを製作し、レザー通も足しげく訪れるという革ブランド“marume”を手がける若槻洋樹さん。ちょっとしたコツや意外なマメ知識までレクチャーしてもらいます。

鞄の老舗メーカーに勤務しながらモノづくりの基礎を学び、4年前に自身のブランドを立ち上げた若槻洋樹さん。現在は、向島にアトリエを構えオートクチュールの一点ものなどさまざまな革製品をつくっています。まずは押さえておきたい基本となる考え方やお手入れ方法の3つを伝授!

革は繊維。
状態が悪化する前に
日々のケアを!

革は繊維と一緒です。乾燥などでひび割れて状態が悪くなってしまってからあわててケアをしても時すでに遅し。繊維が離れてしまうその前に保湿をしたり、オイルなどで手を入れることが基本中の基本です。

バッグも靴も、アウターも。
革製品は、
1度使ったら休ませること

皮革業界ではなぜか“靴”だけが特別扱いされ、連日履くのはNGとの法則が浸透していますが、これは靴に限らず革アイテム全般に言えること。重たい荷物を入れ、服との摩擦で負担がかかる革バッグは数日連続で持てば傷みの元に。お財布などの小物もたまに休ませることが長く愛用するためのコツ。

どんなレザーケアも
まずは“ホコリを取る”ことから

ホコリがついた状態で一生懸命オイルを塗ったところで、それは汚れに栄養を与えるようなもの。余計に傷んでしまいます。どんなレザーアイテムもまずはホコリをやわらかなブラシでしっかり取り除くこと。日々のお手入れはこれだけでも十分なくらいです。

レザーケアの基本的な手順
<バッグ・小物・衣類の場合>

ホコリを取り除くための
ブラッシングを

まずは肉眼で確認できるホコリをきれいにする作業から。ホコリのたまりがちなマチ部分や縫い目上は特に重点的に。

ブラッシングに適しているのは、やわらかな馬毛。ケア製品として売られているもののなかには硬い毛がありますが、かえって革を傷めてしまうこともあるので要注意です。やわらかい毛なら歯ブラシでもOK。

ブラッシングは、ケアの基本であり要。バッグは中に手を入れてホコリを残さないよう細部まで念入りに!

ホコリを取り除くだけで発色や質感など見た目の雰囲気もずいぶんと変わります。ここまでのケアは本来使うたびに行うのが理想ですが、難しければ1か月に一度はしましょう。

オイルを塗る

ホコリを取り除いたらオイルを塗ります。布で塗るとベタっとするので、食器洗い用スポンジで行うのがおすすめですが、研磨剤の入ったスポンジは避けてください。

オイルは精製油であれば実は何でもOK。オリーブオイルなどでも大丈夫です。ただ、慣れていないとベタベタになりがちなので最初は市販のものがおすすめします。ちなみに若槻さんは蜜蝋とホホバオイルを配合したものを愛用。

オイルは1回で塗りきろうとせず、薄く付けて20回、30回と何度も何度も塗り重ねていくことがポイント。途中、革のしっとり具合を確認しながら、好みの艶が出るまで行います。ただし、オイルレザーのアイテムについては、あらかじめオイルが染み込んでいるので、定期的にオイルを塗る必要はなく、レザーが乾燥したときのみ行うほうがいいでしょう。

レザーケアの基本的な手順
<シューズの場合>

ホコリを取り除く

まずは丁寧にホコリを取り除くことから。

固く絞った布で、まんべんなく水拭きを

水で濡らした布を固く絞り全体を水拭き。水のムラはシミのもとになるので、短時間でまんべんなく拭くことが大事。終えたら、半乾きになるまで待つ。

5〜10分経ったらオイルを塗ります。(真鍮製の)留め具にもサッとオイルを塗ればサビ防止になります。

仕上がりはこの通り。ケアをしたての左足の靴は、つややかな風合いに!

定説の
「レザーは水に弱い」は間違い!?

一般的に雨の日にはレザー製品は避けるほうがよいのですが、それはレザーが水に弱いのではなく、雨に弱いため。“まだら”に濡れる雨粒の水は、濡れた箇所だけ革が縮んで硬くなるためダメージを受けます。対策としては、濡れた部分を拭き取るのではなく乾ききる前に全体を濡らすこと。全体が均等に濡れたうえでオイルで保湿しておけば革は一時的に縮んだとしてもオイル効果でゆっくり回復していきます。

使わない革バッグの
収納法とは?

革バッグを状態よく収納しておくには、バッグの中に“あんこ”と呼ばれる詰め物をするのがおすすめ。バッグのフォルムを整えるためのあんこは、新聞紙を丸めて包装紙でくるむだけでOK。

革靴は、シューズラックの
上段に収納すること。

革の大敵はカビ。どの革製品も湿気のない通気性のいい場所に置くことが収納の最大のポイントです。地面に近い部分は湿気もたまりがちなので、シューズラックの下段はスニーカーなど、革製品は上段に収納しましょう。さらにバッグや靴などはたまに外に出して数時間陰干しを行うなど新鮮な空気にあたらせるのも効果的です。

スエードの軽い汚れには
生ゴムで対処。

スエード商品は、軽い汚れは(シューケア用品売り場などにある)天然の生ゴムを使えば消しゴムのように消せます。しかし、油の黒ずみなどのシミは専門のクリーナーを使ってもなかなか落ちないのが現状。家では限界があるので汚れ度合いによっては専門家を頼りましょう。

これくらいの汚れなら…

生ゴムで落ちます!

革製品の経年変化も楽しむ

革には一つひとつ個体差があり、ランクによってもお手入れ法はかわります。レザーケアはひとつの方法が正解ではなく、オイルの種類や塗り方などはいろいろと試しながら、その革にとっての正解を艶具合など自分の好みと照らし合わせながら見つけてください。ホコリだけ取ってあとは経年変化を味わうというのも、ひとつの革との付き合い方。ぜひ楽しみながらケアしてください。

PROFILE

若槻洋樹 | Hiroki Wakatsuki
marume ディレクター

かばん老舗メーカーに5年間勤務しながら皮革製品作りの基礎を学び、プロダクトの流れを知る。26歳の時に福島の実家から名前だけ受け継ぎ一人メーカー『若槻商店』を開業。4年前より本格的に自身のレザーブランド『marume』をスタート。 「自分たちで作る、目の行き届いたもの」でしか満足できない性格から、 現在向島にアトリエを構え、スタッフと共にものづくりの日々を送っている。 職人集団として「オートクチュールの一点もの」製作なども含めさまざまな企業とタイアップしている。