• HOME
  • LIFE
  • [Flower Stylist/平井かずみ] 暮らしに添える花は、さりげなく、心地よく
LIFE

[Flower Stylist/平井かずみ]
暮らしに添える花は、さりげなく、心地よく

2018/01/26

雑誌などでのスタイリングや教室、ワークショップを通して、暮らしに寄り添う花を提案しているフラワースタイリストの平井かずみさん。夫婦で営む自由が丘の「café イカニカ」には、いつも、お手本にしたくなるような素敵な花がしつらえられています。友人たちや会いたかった人の家で花を生ける連載を一冊にまとめた本『あなたの暮らしに似合う花』も好評な平井さんに、花をもっと身近に楽しむコツを伺いました。

伝えたいのは、花のある日々の楽しさ

――まず、フラワースタイリストという仕事について、おしえてください。

平井かずみ(以下、平井):ひと言でいえば、“花のある暮らし”をスタイリングすることです。フラワースタイリストという肩書きにしたのには理由があって、私は自分をアーティストだとは思っていないし、生ける花も決して“作品”ではないんです。スタイリングをしたり、花の本を出版するときには、暮らしのなかに花があったら素敵だよね、と伝えることをいちばんに考えています。教室やワークショップなどで全国に足を運ぶことも多いのですが、そうやって直接お伝えすることができる機会も大事にしています。

――雑誌などで花のスタイリングをするときには、どんなことを大切にされていますか?

平井:その時々のテーマに合わせて花や器、見せ方を決めるのですが、やはり、季節がいつなのかということと、どんな空間なのかを意識します。旬の食材で料理をするのと同じように、旬の花を生けることは何よりも大切。どんな場所でも、花や草木があることによって季節を感じることができます。かといって、それが主役ではないんですよね。花は、あくまでもそこに暮らす人が心地よくいられるためのもの。CMのスタイリングなどがまさにそうですが、画面の中心は人や物です。でも、その周りに植物が映っていることで、どことなく清々しく、気持ちのいい暮らしのイメージが伝わるのだと思います。

――花を活けるのはむずかしいと思っている人も多いかもしれません。部屋に飾るときに、気をつけることはありますか?

平井:上手に生けようと気負わずに、自分が心地よくなるために生けてみるといいのではないでしょうか。そう考えると、部屋の真ん中にどーんと豪華な花があるのって、ちょっと落ち着かないですよね。私はいつも、大げさになりすぎないように気をつけています。目線の先にさりげなく花があって、ふとしたときにそれを見てほっと和むくらいがちょうどいい。たとえば、玄関に梅やコブシなどが一枝あるだけで、もうすぐ来る春を感じることができるし、洗面台の隅にグリーンがあれば、それだけで毎朝気持ちがすっきり整います。だから、たくさんの花を飾る必要もありません。まずはグラスに1輪。それだけでも「花があって気持ちいいな」と思えるはずです。

花は、暮らしの景色をつくってくれる

――昨年出版された著書『あなたの暮らしに似合う花』は、さまざまな人を訪ねて、その家に花を生けるというものですが、印象的だった家やエピソードはありますか?

平井:皆さん素敵な暮らしをしている方ばかり。どの家もまず下見に行き、じっくりインタビューをして活ける花を考えました。よく知っているつもりの友人でも、あらためてライフスタイルを取材すると初めて知ることも多かったですね。たとえば、意外にも「普段まったく花を飾らないの」とおっしゃる方の家では、キッチンで使うハーブを吊るしたり、料理に添える花を提案しました。暮らしに花を取り入れる方法っていろいろとあるので、必ずしも器に生けなくてもいいのです。玄関の広い一軒家では、そのスペースを生かして大きなガラスの器に枝を入れてみたり、空間に合わせていつもと違うことができるのも刺激になりました。

――自分に似合う花、好きな花を、どうやって見つければいいでしょうか?

平井:どんな空間にも、似合う花はあります。もし部屋が狭かったら壁に掛けてみたり、小さな器に挿してテーブルに置くだけでも十分。空間だけではなくて、季節やその日の気分に合わせて選ぶのも楽しみの一つですね。一年中同じ花を生けるわけではないのだから、今日は元気を出したい、気分を変えたいとか、季節をちょっと先取りしようかな、という感じでピンときたものを飾ってみるといいと思います。いつも触れていると、道を歩いていてもその時季に咲いている花に目がいくようになったりして、花の楽しみがさらに広がります。

――最後に、読者へのアドバイスをお願いします。

平井:家の近所や通勤途中の道などで、キョロキョロして花を探してみてください。意外といろいろな花が見つかるはずですよ。私も散歩のときにご近所の庭や道端の花を見るのが大好きです。あとは、花屋さんにもっと気軽に通ってみては。花束を買わなきゃいけないと思うかもしれませんが、その日、可愛いと思った花を1本買うだけでもいいんです。今の季節にはどんな花が咲くのかな?と興味を持つことが、花のある暮らしの第一歩になります。

【 平井かずみさんの
マストハブアイテム 】

花の仕事に欠かせない道具と、お気に入りの器たち。(手前)花鋏は、京都の「安重打刃物店」のもの。年月をかけて大切に使いながら風合いを育てている道具なのだとか。布巾や手ぬぐいといった布は鋏とセットで常に手元に。「器を拭いたり、生ける場所をきれいにするのにも使います」。(右)食器など、家にあるあらゆる器を花器に見立てるのも平井さんのスタイル。これは、フランスの窯「クレイユ エ モントロー」の、アンティークのスーピエール(スープボウル)。(奥)ガラス作家、辻野剛さん作の花入れ。

PROFILE

平井かずみ | Kazumi Hirai
フラワースタイリスト

ikanika主宰。東京・自由が丘の「café イカニカ」を拠点に、花の会を開催。雑誌、広告などでのスタイリング、ラジオ出演、全国でのワークショップや教室を通して、暮らしに季節の花をしつらえる“日常花”の魅力を伝えている。『あなたの暮らしに似合う花』(地球丸)、『ブーケとリース』(主婦の友社)、『フラワー スタイリング ブック』(河出書房新社)など著書多数。

HP : http://ikanika.com